ヨガのインストラクターの年収は、勤務形態や担当するレッスン数によって変わり、「全国平均はこの金額」と一つの数字で言い切ることはできません。厚生労働省の職業情報提供サイト job tag にはスポーツインストラクターの賃金が掲載されていますが、これはヨガ指導者だけを切り出した統計ではありません。まずは数字の対象範囲を確かめ、そのうえで求人票の支払条件と、自分が希望する働き方を分けて考えることが大切です。
先に要点をいうと、job tagの全国値では「賃金(年収)442万円」と「ハローワーク求人賃金(月額)23.7万円」が確認できます。ただし、前者は広い職業分類の賃金統計、後者は求人票に示された月額賃金の統計です。どちらもヨガインストラクター個人の年収を示す数字ではなく、月額求人賃金を12倍して年収とみなすこともできません。
厚生労働省の数字は「ヨガだけの平均年収」ではない
厚生労働省job tagの「スポーツインストラクター」には、職業別名として「ヨガ指導員」が掲載されています。一方、ページに表示される統計は「スポーツ・舞踊指導員」等の広い職業分類に対応し、必ずしもその職業だけの統計ではないと明記されています。したがって、厚生労働省job tagの「スポーツインストラクター」では「ヨガ指導員」が職業別名に含まれる一方、賃金統計は「スポーツ・舞踊指導員」等の広い職業分類に対応し、ヨガ指導員だけの数値ではありません。
同サイトに掲載されている全国値は、令和7年賃金構造基本統計調査の加工値で賃金(年収)442万円、一般労働者の1時間当たり賃金2,142円、短時間労働者1,687円です。令和7年度のハローワーク求人統計では、求人賃金(月額)が23.7万円です。いずれも統計の対象範囲と定義を伴う数字であり、特定のヨガスタジオの給与や、ヨガ指導者の相場と読み替えないでください。
| job tagの表示 | 全国値 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 442万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査の加工値。ヨガ指導者だけの平均ではない。 |
| 一般労働者の時間当たり賃金 | 2,142円 | 同統計の加工値。job tagの説明では残業代・賞与を含む。 |
| 短時間労働者の時間当たり賃金 | 1,687円 | 同統計の加工値。job tagの説明では残業代・賞与を含まない。 |
| ハローワーク求人賃金(月額) | 23.7万円 | 令和7年度の求人統計。求人票上の月額賃金であり、個人の確定年収ではない。 |
厚生労働省job tagの統計欄は、スポーツインストラクターが属する主な職業分類に対応する統計で、必ずしもその職業だけのデータではないと説明しています。公的な数字であっても、対象の職種、雇用形態、集計方法を確認してから、自分の働き方に近い求人や契約条件と比較するのが安全です。
また、求人賃金23.7万円は「採用された人が毎月必ず受け取る金額」や「年収の平均」ではありません。求人時に提示された月額賃金の統計です。雇用期間、勤務時間、賞与、固定残業代、契約更新などによって実際の条件は異なるため、月額を単純に12倍した額を個人の年収として紹介することはできません。
雇用・時給・1レッスン制では、収入の見方が違う
同じ「ヨガを教える仕事」でも、月給で雇われる場合、時給で働く場合、1レッスン単位で報酬を受け取る場合、自分で参加者を募る場合では、確認すべき数字が違います。求人票に書かれた金額だけでは、実際の月収や仕事量を比べきれません。
| 働き方の例 | 確認する単位 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| スタジオ・施設の社員 | 月給、賞与、勤務時間 | レッスン以外の受付・清掃・研修などを含むか、固定残業代の扱い。 |
| パート・アルバイト | 時給、シフト時間、勤務日数 | 担当クラスの前後の準備時間も勤務時間に含まれるか、シフトがどの程度確定するか。 |
| 業務委託・1レッスン制 | 1本あたりの報酬、実施本数 | 準備・片付け、交通費、代行、休講・キャンセル時の扱い。 |
| 自主開催・オンライン | 参加費、開催回数、参加人数 | 売上から会場費・決済手数料・告知費などを差し引く前か後か。 |
雇用契約なら、月給や時給だけでなく、勤務時間と担当業務をセットで見ます。1レッスン制なら、報酬額に加えて、レッスン前後の準備や移動にかかる時間、休講時の支払いも確認しましょう。自主開催は、受け取った参加費の合計がそのまま所得になるわけではありません。会場費や決済費用など、続けるために必要な支出を分けて記録する必要があります。
比較する際は「月にいくらになるか」だけを先に比べず、報酬の単位、予定される稼働、支払い対象となる時間、経費の負担者をそろえてください。条件が異なる募集を、月額だけで横並びにすると、実際の働き方を誤解しやすくなります。

求人票では「金額」より先に、支払条件を確認する
求人の月給やレッスン報酬を比べる前に、次の項目を質問できる状態にしておくと、募集条件の違いが見えやすくなります。募集要項に書かれていない項目は、面談や応募前の問い合わせで確認します。
- 報酬の単位:月給・時給・1レッスンあたりのどれか。試用期間や研修期間で変わるか。
- 支払いの対象:レッスン以外の準備、片付け、受付、研修、ミーティングが含まれるか。
- 担当数の決まり方:最初に予定される本数、代行の扱い、クラス数が変わる条件。
- 休講・キャンセル:施設都合や参加者数による休講時に報酬がどうなるか。
- 差し引かれる費用:交通費、備品、会場利用料、決済手数料などの負担者。
- 雇用・契約の範囲:契約期間、更新条件、勤務時間、社会保険など、雇用形態に関わる条件。
特に「1本あたりの報酬」は、数字だけでは働きやすさを判断できません。移動や準備を含めて何時間を使うのか、複数のクラスを同じ日に担当できるのか、休講時の扱いはどうかを合わせて確認します。求人情報は条件の入口として使い、応募前に最新の募集要項や契約内容を読み直してください。
自分用の比較メモには、求人ごとに「報酬単位」「予定稼働」「レッスン外の業務」「交通費等の負担」「契約期間」を並べます。記載のない箇所は推測で埋めず、「要確認」と残すのがポイントです。金額が高く見えても、仕事量や報酬対象の時間が違えば、単純比較できないことがあります。
受講者の実例は、活動の形まで。報酬額の根拠にはしない
データベースに登録されたOREOのRYT200オンライン受講者の記録には、海外でレッスンを始めたことと、オンラインで離れた場所に住む相手へ教えていることが、本人の言葉で残っています。
「海外在住のため、現地に住まれている日本人の方々の為に少しずつレッスンを始めています。」
「また、オンラインで、日本に住む母やそのお友達、またアメリカに住む友達に向けてレッスンをしています。」
この記録から確認できるのは、対面とオンラインという二つの活動の形、そしてどのような相手にレッスンを届けているかです。レッスンの有料・無料、単価、月の実施本数、売上、生活費を賄えるかは記載されていません。したがって、この体験を「年収の実例」として紹介することはできません。体験談は、働き方の選択肢を考える材料として読み、報酬の判断には別の根拠を使います。
間宮愛さんはOREO YOGA ACADEMYのヘッドティーチャーとして養成講座を担当し、講師プロフィールには卒業生の進路に関する経験も記録されています。本人の言葉では、系列スタジオのオーディションに合格してレギュラークラスを担当した卒業生について、次のように述べています。
「系列スタジオでのオーディションにご参加いただき、見事合格!インストラクターとしてデビューされた方がレギュラーレッスンをGET。」
これはプロフィールに記録された一人の卒業生の経験であり、全員が同じ進路をたどることや、収入が得られることを保証する話ではありません。具体的な報酬額も示されていません。資格を修了すること、選考に通ること、継続してクラスを担当すること、報酬を得ることは、それぞれ別の段階です。収入を見積もるときは、体験談の印象だけで段階を飛ばさないようにします。

自分の年収を考えるときは、条件をそろえて試算する
公的統計の数字を自分の将来の年収とみなす代わりに、検討中の働き方に合わせて、どの情報を集めるかを決めます。雇用なら、基本給・賞与・勤務期間と、レッスン以外の担当業務。時給なら、時給と実際に組めるシフト。1レッスン制なら、1本の報酬と継続して担当できる見込み本数、準備や移動に使う時間を確認します。
自主開催やオンラインの場合は、まず「参加費×実施回数×実際の参加人数」で売上を分けて記録し、そこから継続に必要な費用を別にします。開催予定数をそのまま実施数とみなしたり、満席を前提に売上を計算したりせず、確定している条件と希望・仮定を区別してください。収入を比較するための仮置きの計算と、実際に受け取った金額の記録も混同しないようにします。
見積もりを作るなら、少なくとも「確定している条件」「募集側に確認する条件」「まだ仮定している条件」の三つに分けます。仮定の数が多いときは年収の一点予測を出すより、担当数や稼働日が変わったときにどう動くかを比較する方が、現実の判断に役立ちます。
応募準備やオーディションの流れを確認したい場合は、ヨガインストラクターの応募条件・実技・面接の準備も参考になります。求人に応募するときは、資格名だけでなく、担当業務・勤務条件・報酬の決まり方を個別に確認しましょう。
ヨガインストラクターの年収についてよくある質問
ヨガインストラクターの平均年収は442万円ですか?
そのようには断定できません。442万円は厚生労働省job tagが掲載する「スポーツインストラクター」欄の賃金統計で、「スポーツ・舞踊指導員」等の広い職業分類に対応しています。ヨガインストラクターだけの平均年収ではありません。
求人賃金の月額23.7万円を12倍すれば、年収の目安になりますか?
23.7万円は令和7年度のハローワーク求人賃金(月額)の全国値です。求人票上の月額賃金を集計した値で、同じ人が12か月働いた実績や年収を示すものではありません。賞与や勤務期間などの条件も分からないため、単純に12倍しないでください。
フリーランスや業務委託の年収は、どう調べればいいですか?
今回確認した厚生労働省の数字だけでは、ヨガの業務委託講師やフリーランスの年収は分かりません。契約ごとの報酬単位、担当予定数、キャンセル条件、費用負担を確認し、売上と必要経費を分けて記録します。個別の契約・税務判断は、契約書や公的窓口、専門家の案内で確認してください。
資格を取れば、すぐに安定した収入になりますか?
資格の修了だけで、採用、担当クラス数、報酬が決まるとは言えません。募集条件や選考、勤務・契約条件はスタジオごとに異なるため、資格取得後の活動を検討するときは、応募先に必要な条件と実際の報酬体系を一つずつ確認しましょう。












