フルタイムで働きながら、子育てと家事をこなす毎日。そのすき間に、ヨガの資格を取得した人がいます。保育園の送り迎えの道すがらインストラクションを声に出して練習し、子どもを寝かしつけた後の静かなリビングで動画を再生する。そんな積み重ねの先に、解剖学とヨガ哲学が指導の厚みをどう変えるのか——ねりさんの学びのプロセスは、「いつか資格を」と思いながら踏み出せずにいる人への、静かな問いかけになっています。
この記事のポイント
- 解剖学とヨガ哲学を学ぶことで、ポーズの「形」ではなく「なぜそうするのか」を言葉にできるようになり、指導の厚みが根本から変わります。
- フルタイム勤務・子育て中でも、取得期限のないオンライン形式と1回最大60分程度の短い動画講義を組み合わせることで、自分のペースで学習を完走できます。
- 資格取得はゴールではなく、友人へのフリーレッスンや将来の指導活動に向けた「実践の起点」として機能します。
RYT200とは?解剖学・ヨガ哲学・指導が一体になった基礎資格
RYT200は、全米ヨガアライアンスが認定する200時間のヨガ指導者養成資格で、ヨガのテクニック・哲学・解剖学・倫理の基礎を体系的に学ぶ入門資格です。多くのヨガインストラクターがこの資格から指導者としてのキャリアをスタートさせています。
「ヨガを教える」という行為には、ポーズの見た目を真似させること以上のものが求められます。なぜこのポーズで体のどこに働きかけるのか、どの筋肉が動いてどの関節に負荷がかかるのか——解剖学の知識があってはじめて、安全で的確なキューイングが生まれます。ヨガ哲学は、ポーズの背景にある思想や呼吸との関係を理解する土台であり、インストラクターが「ただ動きを教える人」ではなく「ヨガの本質を伝える人」になるための軸になります。
RYT200のカリキュラムはこの二つを切り離して教えるのではなく、実技・理論・哲学が互いに補い合う形で構成されています。資格取得後は、継続教育の受講と全米ヨガアライアンスの会員資格更新、そして倫理規定の遵守が求められます。資格は取得して終わりではなく、学び続けることが前提にある仕組みです。
なぜ「今」踏み出せたのか——ねりさんのきっかけ
ねりさんがヨガを始めたのは、10年ほど前のことです。妊娠・出産を機に一度離れ、子育てがひと段落したタイミングで再び通い始めたスタジオが、OREO YOGA ACADEMYの運営会社チェルシー株式会社が運営するホットヨガスタジオ「SANCTUARY」でした。
RYT200への興味は以前からあったものの、「通うことが難しい」という現実が壁になっていました。フルタイムの仕事、家事、子育て——その三つを抱えながら、決まった曜日・時間に通学するイメージが持てなかったのです。
転機は、SANCTUARYで受けたOREOリードトレーナーによる特別レッスンでした。1つひとつのポーズにフォーカスした内容で、説明のわかりやすさと親しみやすい雰囲気が印象に残りました。そしてリモートワークへの切り替えで、仕事前やランチタイムに時間の使い方が変わったことも後押しになりました。
「元々RYT200に興味はあったものの、今までは通うことが難しいと考えていたティーチャートレーニングにチャレンジしようと思ったのがきっかけです」
「いつかやりたい」が「今やれる」に変わった瞬間は、環境の変化と、信頼できる指導者との出会いが重なったときでした。
30分の動画に数時間かける——学びのリアルな密度
OREO YOGA ACADEMYのRYT200オンラインコースは、全20講義・動画28本で構成されています。1本あたり最大60分程度の短い動画に分かれており、通勤中や育児の合間など、まとまった時間が取れない日でも少しずつ進められる設計です。動画は24時間いつでも視聴でき、取得期限もありません。
ただし、ねりさんが実際に体験した学びの密度は、動画の長さとは比例しませんでした。
「30分間のビデオレッスンを視聴するのに、数時間はかかります。テキストを見ながらメモを書いたり、ビデオを止めて体を動かしながら理解したり、インストラクションの部分は一語一句をディクテーションします」
特にインストラクションのディクテーションは、解剖学とヨガ哲学の理解が直接問われる作業です。「足の裏全体で床を押して」「坐骨を後ろに引きながら、背骨を長く伸ばして」——こうした言葉は、筋肉・骨格の動きを正確に把握していなければ、自分の言葉として出てきません。書き写すことで、頭の中の知識が「使える言葉」に変換されていきます。
日常の時間の使い方も、学びに合わせて変わっていきました。
「保育園の送り迎えの時間に歩きながらインストラクションの練習、夜寝かしつけが終わってからビデオ受講の毎日でした」
移動中に声に出してキューイングを練習する。子どもが眠った後の静かな時間に画面と向き合う。生活の中に学びを埋め込む形で、少しずつ前に進んでいきました。
燃え尽きかけた後半——ペースダウンと「マイペースでいい」という言葉
順調に見えた学習も、後半は大きくペースが落ちました。
「途中燃え尽きて、後半はだいぶペースダウンして、何とか1年数か月で修了まで辿り着きました」
フルタイム勤務と子育ての合間に学び続けることは、体力的にも精神的にも消耗を伴います。特に解剖学やヨガ哲学のような理論的な内容は、疲れた状態では頭に入りにくく、「今日は進められなかった」という日が続くと焦りが生まれます。
そのとき支えになったのが、講師からの言葉でした。
「先生方の『マイペースにゆっくり進めてください』のお声がけに励まされました」
「ヨガの学びに『正しいスピード』はありません。ねりさんのように、生活の中に学びを溶け込ませながら1年以上かけて修了した方は、実はとても深いところまで理解が届いています。燃え尽き感を感じながらも続けられたのは、学びへの誠実さがあったからだと思います。自分のペースで大丈夫ですよ、というのは言葉だけでなく、そのまま事実です」
— MAYU(ヨガインストラクター)
ヨガ哲学の八支則の中に「アヒムサー(非暴力)」という概念があります。他者への暴力だけでなく、自分自身への過度な強制も含まれます。「もっと速く進まなければ」「遅れている」という焦りは、自分への暴力の一形態とも言えます。ゆっくりでも続けることが、ヨガの学びにおいては最も誠実な姿勢です。
解剖学とヨガ哲学は、指導の厚みをどう変えるのか?
RYT200のカリキュラムで特に印象的だったのが、講義での実践機会でした。実際にインストラクションを行う場面があり、画面越しに緊張感を持って言葉を選ぶ経験は、動画視聴だけでは得られないものでした。
「講義では、実際にインストラクションを行う機会があり、緊張感があってとてもよかったです」
また、日頃から溜まっていた疑問を直接講師に聞ける時間も大きな意味を持ちました。
「オンライン受講は毎日孤独にPCの画面とにらめっこなので(笑)、対面でお話しできる安心感があり、日頃から溜めていた疑問点にお答えいただいたり、ポーズもビデオを通して確認してくれて、とても分かりやすかったです」
解剖学の視点が加わると、ポーズの指導は根本から変わります。たとえば「腰を反らせて」という言葉ひとつとっても、腰椎の過伸展リスクを知っているインストラクターと知らないインストラクターとでは、キューイングの精度がまったく異なります。「骨盤を前傾させながら、腰ではなく胸椎から反る」という指示は、解剖学の知識があってはじめて自然に出てくる言葉です。
ヨガ哲学も同様です。「なぜ呼吸を意識するのか」「なぜ今ここに集中するのか」——その問いに答えられるインストラクターのクラスは、ただ体を動かす時間ではなく、参加した人が自分の内側と向き合う時間になります。
「解剖学を学ぶ前と後では、ねりさんの体を見るときの視点が変わります。どこが硬いのか、どこに力が入りすぎているのか、骨格の個人差がどう動きに影響しているのか——そういったことが見えてくると、『完璧なポーズ』を求めるより、その人なりの心地よさを探す指導ができるようになります。ヨガ哲学は、その姿勢を支える思想的な柱です」
— MAYU(ヨガインストラクター)
資格取得後に広がった景色——友人へのレッスンと「効果があった」という言葉
修了後、ねりさんはすぐに大きなスタジオでの指導を目指したわけではありませんでした。まず選んだのは、月に数回、友人を相手にフリーレッスンを行うことでした。
「レッスン後のスッキリとした表情や、後日『効果があった!』という連絡があったりすると、やりがいを感じます」
この「効果があった」という言葉は、解剖学とヨガ哲学を学んだ指導者だからこそ引き出せる変化です。体の構造を理解した上でシーケンスを組み、呼吸と動きを連動させながら言葉で誘導する——その積み重ねが、受けた人の体に翌日も残る感覚につながります。
将来的には、ストレスフルな生活を送る人や高齢者を対象にしたレッスンを届けたいという目標も生まれました。資格取得はゴールではなく、自分が何を伝えたいのかを問い直す出発点になっていました。
OREO YOGA ACADEMYのRYT200オンラインコースは270,000円(税別)からです。クレジットカードであれば分割払いにも対応しており、銀行振込の場合は一括のみで割引があります。全米ヨガアライアンスへの登録には別途申請料50ドルと年会費65ドルが必要です。1動画講義は卒業後も視聴でき、カリキュラムの内容を繰り返し確認できる点は、指導を始めてから「あの授業をもう一度見たい」と感じたときに役立ちます。
受講前に確認しておきたいこと——形式と自分の学び方の相性
OREO YOGA ACADEMYのRYT200は、オンライン・全国出張の短期集中マンツーマン・合宿リトリートの3形式から選べます。オンラインと短期集中マンツーマンは取得期限がなく、自分のペースで進められます。合宿は沖縄・京都・軽井沢の3拠点から選べる2泊3日の少人数制(5名以内)で、集中して学びたい人に向いています。
ねりさんのケースが示すように、オンライン形式は「時間が自由にならない」という制約を抱えた人ほど、学習スタイルとの相性が良い傾向があります。一方で、孤独感を感じやすいという側面もあります。担当制サポートのもとでLINE・メール・電話での相談ができ、毎日開催の1対1オンライン個別説明会も用意されているため、疑問や不安をためずに進められる環境が整っています。
大人数のクラスで仲間と切磋琢磨したい人や、固定された通学スケジュールの中で学ぶことを好む人は、事前に形式の相性を確認しておくことが大切です。毎日開催の個別説明会は約60分の1対1形式で、受講形式の選び方から学習の進め方まで具体的に相談できます。
修了後は修了テストへの合格が全米ヨガアライアンスへの登録申請の条件になります。資格取得後も継続教育(3年間で30時間)と会員資格の更新が求められるため、資格を「取って終わり」ではなく、学び続けるサイクルの中に位置づけることが前提になります。
よくある質問
まとめ——「今日の自分」から始める指導の厚み
解剖学とヨガ哲学を学ぶことは、ポーズの正確さを追求することではありません。体の構造を知ることで「なぜこの動きが必要か」を言葉にできるようになり、哲学を学ぶことで「なぜヨガを伝えたいのか」という問いに答えられるようになります。その二つが重なったとき、指導は技術から表現へと変わります。
ねりさんが1年数か月かけて積み上げた学びは、友人の「効果があった」という一言に結実しました。完璧なペースで進んだわけではなく、燃え尽きながらも続けた結果です。「今日の自分を褒めてあげましょう」という言葉が、学びの途中で何度も意味を持ちます。
資格取得を検討している方は、まず自分の生活スタイルと学習形式の相性を確認することから始めてみてください。OREO YOGA ACADEMYでは毎日1対1の個別説明会を開催しており、受講形式の選び方から学習の進め方まで、具体的な疑問を持ち込める場があります。「いつか」を「今」に変えるための最初の一歩として、話を聞いてみることが選択肢のひとつです。
詳細はOREO YOGA ACADEMY公式サイト(https://oreo.yoga/)で確認できます。
参考文献
- Yoga Alliance 認定トレーニングの選び方 Yoga Alliance(参照日: 2026年05月)
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